都会の夜空は明るい星しか見えないけれど、
晴れた夜には、ちょっとだけ足を止めて空を見上げてみませんか。

2013.12【235】★冬のダイヤモンド
冬の1等星をつないだ「冬のダイヤモンド」をご存知ですか?
2月初旬なら21時ころ、南の空をご覧ください。青白く輝いているのは、おおいぬ座のシリウスです。その東上方に見える淡黄色の星はプロキオン(こいぬ座)。
続けて時計回りに明るい星々、ポルックス(ふたご座)、カペラ(ぎょしゃ座)、アルデバラン(おうし座)、リゲル(オリオン座)をつないでいくと、空に大きな六角形が浮かび上がります(ふたご座の2等星、カストルを入れて7つの星を結ぶこともあります)。これが冬のダイヤモンド。
六角形の内側にはオリオン座の赤い星ベテルギウス、今は木星もありますから、いっそうはなやか。地上はとても寒い時期ですが、冬の夜空できらめく巨大なダイヤは、なんとも豪華ですね。

2013.11【234】★オリオン大星雲
冬の星座の代表といえばオリオン座ですね。棍棒を振り上げたオリオンの右肩が、赤い1等星ベテルギウス。左足の青白い1等星はリゲル。ベルトの位置にはきれいに並んだ三ツ星があります。
三ツ星の南にあるのが、オリオンの剣にあたる小三ツ星です。この中央に大星雲があり、肉眼でも星がにじんだように見えます。地球からの距離は約1,500光年。望遠鏡を使えば、羽ばたく鳥のような姿を見ることができるでしょう。
オリオン大星雲は、ガスやちりでできた散光星雲という天体。この中では次々と星が生まれていることがわかっており、天文学者の注目の的となっています。
年老いたベテルギウス、誕生してまだ数百万年の若いリゲル、そして星のタマゴたち…オリオン座には、星の一生のさまざまな場面が詰まっているのです。

2013.10【233】★アイソン彗星 その2
そろそろ冬の星座たちが夜空をにぎわす季節になってきましたが、今いちばんの話題はやはり、11月29日(金)に太陽のすぐそばを通過するアイソン彗星です。
新聞やテレビで、この彗星のニュースをご覧になった方も多いことでしょう。ツイッターやフェイスブックなどでも、星好きの人たちが撮影した写真を公開したり、「どこそこで見えた!」といった情報をさかんにやりとりしています。
各地の天文台などでもアイソン彗星にちなんだプラネタリウムのプログラムや観望会、講演会を開催し、好評を得ているようです。
この原稿を書いている時点では、市街地では双眼鏡や望遠鏡を使わないと見えないくらいの明るさですが、日ごとに変化しており、目が離せません。夜明け直前の東の空に人びとの熱い視線がそそがれています。

2013.9【232】★アイソン彗星
アイソン彗星が、いよいよ11月末にもっとも太陽に近づきます。このとき、太陽に非常に近い距離(約190万キロメートル)まで接近することから、明るい彗星になるのではないかと予想されてきました。
11月下旬には夜明け前の東の空に雄大な姿を見せて欲しいものです。しかし、今のところ光が増していくペースが鈍く、期待通りにはいかないようです。また、太陽に近づきすぎて彗星本体が消えてしまう可能性もあるともいわれています。まだ何が起こるかわからないのです。
11月1日にはアイソン彗星接近記念の切手セットが発売されるなど、今後話題も増えそうです。日本天文協議会では、「アイソン彗星をみつけよう」キャンペーンを行っています。サイトを覗いてみてくださいね。

2013.8【231】★宵の明星、金星
今の時期、日の入り後の西の空にとても明るく輝いているのは、宵の明星、金星です。英語ではローマ神話の美の女神、ヴィーナスの名で呼ばれてます。
金星は地球と同じ太陽系の惑星です。地球より内側を回っており、望遠鏡で観察すると、月のように満ち欠けするのがわかります。
大きさなど地球とよく似ていて姉妹にも例えられる金星ですが、環境は大違い。ほとんどが二酸化炭素の濃い大気と、硫酸の雲に覆われた地表の気温は500度近く、大気圧は地球の90倍という過酷さで、人間は住めそうにありません。
10/8(火)前後には、金星と細い三日月が近づいて見え、また、10/17(木)ころにはさそり座の赤い1等星、アンタレスにも接近します。夕方、ちょっと西の空をながめてみてくださいね。明るい一番星を見つけたら、きっとそれが金星です。

2013.7【230】★天の川
星々の間にぼんやりと浮かびあがる光の帯、天の川。みなさんは見たことがあるでしょうか? ひょっとしたら、七夕の夜だけに現れる現象だと思っている人もいるかもしれませんね。
実は天の川は一年中空にあるのですが、とても淡い光なので、残念ながら市街地では見ることができません。よく晴れた月のない夜、街から離れた光の少ないところまで行けば、満天の星とともに天の川が楽しめるでしょう。
現在、南米チリ・アンデス山中の標高5,000mの高原で、超高性能の電波望遠鏡を使って宇宙を探る、国際プロジェクト ALMA(アルマ)計画が進められています。雨がほとんど降らないなど、理想的な観測条件を備えたこの場所では、天の川の星明りで地面に影ができるのだそうです。すごい!

2013.6【229】★流星群を見よう
さて、今年もたくさんの流れ星が楽しみな「ペルセウス座流星群」の季節がやってきました。その活動は、8月12日(月)の真夜中から13日(火)の明け方頃に最も活発になります。今回は月明かりがないことなどもあり、見逃せない好機会です。
ところで、 流星群の正体とは何でしょう? 実は、彗星が太陽を回る通り道にまき散らした小さな「ちり」の粒なんです。ちりの密集したところを地球が通ると、ちりが猛スピードで地球の大気に飛び込んで高温となり、光を放ちます。この光を地上から見たのが流れ星というわけです。
ペルセウス座流星群のもととなったのは太陽を約130年の周期でまわるスイフト・タットル彗星とされています。

2013.5【228】★伝統的七夕
七夕の晴れた夜にだけ、天の川にかかるカササギの橋を渡って会うことを許された織姫と彦星のお話は有名ですね。でも梅雨真っ最中のこの時期、ふたりが再会するのはなかなか難しそうです。
「伝統的七夕」とは、旧暦(太陰太陽暦)の7月7日を現在の暦の日付に当てはめたもの。新暦より1カ月ほど遅くなるので、夏空が広がる可能性が高くなります。今年は8月13日(火)が「伝統的七夕」の日です。
伝統的七夕ライトダウン2013推進委員会(http://7min.darksky.jp/)では、「伝統的七夕」とその前日、20時から7分間、全国で一斉に明かりを消して星空を見上げようと呼びかけています。8月12日(月)・13日(火)の2日間、みなさんも可能な範囲でライトダウンに参加してみませんか。ペルセウス座流星群も見頃を迎えており、夜空をながめる絶好の機会です。

2013.4【227】★天体観望会
みなさんは、観望会に行ったことがありますか? 先号でご紹介した「星空案内 in 西宮ガーデンズ」もそのひとつ。星空案内人(R)という資格を持ったボランティアスタッフが企画・開催しています。
その目的は、天体望遠鏡で星空を見て、参加者に宇宙を身近に感じてもらうこと。知識が増えると、夜空を見るのも楽しくなりますよ。
各地の天文台や科学館などでも観望会や宇宙に関するさまざまなイベントを開催しています。
また、兵庫県には西はりま天文台(佐用町)に、一般の人が見られる天体望遠鏡としては世界最大の「なゆた望遠鏡」(口径2m)があります。興味のある方はぜひ、西はりま天文台の観望会に参加して「なゆた」から宇宙をのぞいてみてはいかがでしょう。
(西はりま天文台 http://www.nhao.jp/

2013.3【226】★土 星
太陽系で木星に次いで大きい惑星、土星。美しい環を持ち、観望会でも人気の天体です。5月はほぼ一晩中見ることができます。
あの環はほとんどが氷の粒でできており、幅は小さい望遠鏡で見える明るい部分だけで4万km以上。厚みはわずか数十〜数百m程度と考えられています。地球から見て環が真横になったとき、見えなくなるほどの薄さです。
5月上旬であれば21時頃、南東の空に明るい星が二つ並んでいるのを探してみましょう。東側の少し黄色い星が土星、西側がおとめ座のスピカです。また、5月22、23日には月が土星とスピカに近づいて見えるのだそうですよ。
5月19日(日)19:15〜20:45、西宮ガーデンズ4Fスカイガーデン&ガーデンズホールで「星空案内 in 西宮ガーデンズ」が開催されます(悪天中止)。月や土星を天体望遠鏡で見てみませんか。申込不要・無料です。

2013.2【225】★春の大曲線
前号で紹介したパンスターズ彗星ですが、期待どおりには明るくならなかったようです。また、夕方、西の低い空でしか観察できないことや、春霞などにも影響されて、肉眼では確認しづらいようですね。4月には夜明け前の東の空でも見られるようになるので、そちらにも期待しましょう。
さて、春の夜、北の空には北斗七星が高く昇ってきます。そのひしゃくの柄の3つの星をつないだ曲線を延ばした先に、オレンジ色に輝く星があります。これは、うしかい座の「アークトゥルス」という名の0等星。さらに延ばすと白く明るい星、おとめ座の「スピカ」にたどりつきます。こちらは1等星です。
北斗七星からアークトゥルス、 スピカを結ぶこの曲線を「春の大曲線」と呼び、春の星座を見つける目印となっています。アークトゥルス、 スピカは、しし座のデネボラと「春の大三角形」の頂点にもなるんですよ。

2013.1【224】★パンスターズ彗星
2013年は、明るい彗星がふたつも現れる! とずいぶん前から話題になっていました。そのひとつめ、「パンスターズ彗星」が3月10日に近日点(太陽にもっとも近づく点)を通過します。
彗星がどのくらい明るくなるのかという予想はとても難しく、期待を下回ることもしばしば。この彗星も、 1等星より明るくなるのでは? いやそれほどでは…と諸説紛々なのです。さて、どうなるのでしょう。
3月10日頃には日暮れの西の空、3月下旬から4月上旬には日暮れの西の空と夜明け前の東の空に1日2回見えるようになるとのことです。しかし、いずれも低い位置なので建物などのない視界の開けた場所で探してみましょう。双眼鏡をお持ちであればぜひ使って観察してみてください。
パンスターズ彗星は、この後二度と戻ってくることはないと考えられています。まさに一期一会ですね。

 

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