刻は進む 時間は輝く


 10年ひと昔というから20年という年月は遠い昔のように感じる。両親と病院に来ていた子供たちが、今は結婚して新しい家族とともに犬や猫を連れてきている。
 動物の医療も20年前と比べ格段に進歩し、ペットは長生きになった。それとともに命とは儚い(はかない)もので、いつか必ず終わりが来るという認識が薄らいできたのかもしれない。あるいは頭ではそれをわかっているつもりでも、自分にとっては死はとても遠い存在で、ある日突然別れと向き合わなければならなくなるのかもしれない。
 20年以上この仕事を続けてきて今想うことは、命には限りがあるという事実は誰にも変えられない。大事なことは、命のある時間を大事に使うべきということ。命が長かろうが短かろうが、それは関係ない。昨夜も難病で闘病の末、一つの小さな命が終わりを迎えた。家族に支えられ愛されて…とても輝いている命の灯だった。
だから私たちはその命を愛おしんで涙が止められない。
 次の20年後、私は命についてどんな風に思っているんだろうか。

ク−パー動物病院  http://cooper-net.jp/

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