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  昨年11月、「にしのみや街づくりプロジェクト」というイベントが催されました。このプロジェクトを主催した「西宮介護ネットワーク」の代表・幸地さんを訪ねました。幸地さんは、訪問介護、介護タクシー、紙おむつなどの事業を営む「グローバルウォーク」社の代表でもあります。

介護に対して強い思いを持っておられたのではないとか?

 私は常に楽しく過ごしたいと思っていまして、高校卒業後の進路を決める時も、作文と面接だけで入学が決められる専門学校を選んだのです。それが、社会福祉学科で学ぶきっかけでした。(笑) 学校から介護施設に実習に行くと2日目から可愛がっていただきまして、「かわいがられるのも才能のうち」なんて思っていたのですが、皆さんにかわいがっていただけるだけの中身を備えないといけないと思うようになり、やっと一生懸命に勉強するようになったのです。

高齢者と一緒に楽しんでいる感じですね

 いま高齢者と呼ばれる人たちは、働いて働いて日本の高度成長を支え、ぼくたちの生活の礎を築いてきた方たちです。戦争に行って帰ってきた人もあります。今の世の中のためにこんなにも働いてきた人たちが、ないがしろにされていいはずがないです。もっと大切にしないといけないし、もっと一緒に楽しんでいいはずなんです。京都では、介護職とデザイナーが一緒に企画して「しわしわ展」を開きました。高齢者の笑顔をテーマにして、写真展やライブを行ったんです。介護というと、マイナーなイメージを持たれがちですが、当たり前のこととして、誰でもが取り組みたいです。

認知症サポーターを増やす活動をされていますね

 「地域包括ケアシステム(医療・介護・介護予防・生活支援・住まいのサービスを、一体的に受けられる支援体制)の構築が進められていますが、介護職は、慢性的に不足していますし、介護の現場環境が整わず、質の高い介護職がなかなか育たないのが現状です。高齢者は増える一方ですし、4人に1人が認知症になると言われる時代には、誰もが介護についての知識を持ち、地域全体で高齢者を支えるようにしておかないとケアが間に合いません。
 そこで、地域の学校と連携を始めました。1月30日には、平木中学校で、認知症サポーター講座を開催します。受講した中学生には、認知症サポーターの証である、オレンジリングを渡します。実は、中学校の校長から「トライやるウィークの時に、介護職を希望する生徒がいない」と嘆きを打ち明けられたのが、この講座のきっかけです。身近に介護の実例がないと、介護についてイメージができないんですよね。

介護と街づくりとの関わりとは?

 介護職の視点から街づくりを考えようとプロジェクトを立ち上げましたが、初回の講演には、150名の参加があり、ワークショップにも行政の側からも多数参加されて、おもしろい意見交換ができました。僕たちも郷愁的な街の思い出があって、その記憶を裏付けに、人と人をつなぐ街づくりを進めたいと思っています。

 難しく考えれば難しい介護ですが、幸地さんの取り組み方には希望が見出せそうです。



■西宮市甲子園口3-23-16-1F
TEL.0798-63-5213


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