人、街、酒

第4回

ギター一本抱えて街から街へ。音楽で人と人をつなぐ桑名晴子さん。出会う人、自然、モノについて語ります。


 昨年リリースしたCD「Siseter Moon(シスタームーン)」には、こんな記述があります。「収益の一部を未来を担う子供たちの育成教育資金、平和の道を歩む人々への支援金として寄付します」。
 晴子さんは音楽活動で得た収益の中から、「ピース・フレンドシップ」として、子供たちの健全な活動を支える資金や東北支援の至近として寄付し続けています。寄付先は晴子さん自身が選択し、直接寄付するようにしており、使途が明瞭なことがこの支援金の特長です。


高いところから低いところへ

 「水は高い所から低い所に流れますが、お金の流れも同じですね。日本ではお金はなかなか愛情表現にはなりにくいですが、価値観の持ち方次第だと思います。例えば税金。人のためにきちんと使われれば、愛のあるお金になります。1人が10万円をポンと出すことも素晴らしいけれど、1万人が10円ずつ出し合うほうが同じお金でもたくさんの愛がこめられるでしょう? お金の流し方を工夫することが重要なのだと思います」


オーガニックな生き方

 晴子さんは、衣食住の全てに「オーガニック」を求め続けています。きっかけは、湘南で暮らしていた1989年に大病をしたことから。
 「抗生物質を山ほど使って、腎臓が悪くなっていると診断を受けました。その時、薬を飲まなくてもいい体を作りたいと強く思ったのです。体質改善には8年かかると言われましたが、8年間一切の薬を飲まないようにして、有機農法の食物を摂るようにしたら、本当に体が強くなって、風邪もひかなくなったんです。これはとても重要なことなんです。なにしろ、一度ステージに立つと2時間立ちっぱなしで唄うわけですから、体が丈夫なことは最低条件。心も体も丈夫になって、自然に奏でる音楽もロックから人にやさしい音楽に変わってきました」
 晴子さんの音楽を愛する根強いファンに加えて、語りかけるように唄う彼女の、新しい層のファンも拡大しています。
 10月は、兄・桑名正博さんの三回忌。いつもに増して、晴子さんの心の歌が聞けそうです。


つづく


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