ウサギ追いし


 今年2月初旬、イギリス人の友人夫妻からメールが来た。彼らのジャックラッセルを安楽死したというメール。昨年夏に会った時17歳の老犬だった彼は、持病の心臓病がかなり悪化していて、別れる時に来年はもう会えないかもと直感的に思った。友人夫婦共に獣医師。だから彼らも苦渋の選択だったということは聞かずともわかっている。
 4月にドイツの学会で彼らに再会した。その時の夫の講演の最後の1枚のスライドは、その日紹介された、彼の患者の犬たちの写真が散りばめられているもの。その中に、彼らの愛犬の写真も見つけた。いつものように家の近所の麦畑を嬉しそうに走っている写真。それは以前、私が一緒に散歩に行った時に撮った1枚だった。
 安楽死を知らせてくれた彼のメールには、こう結んであった。彼(犬)は、目に見えないウサギをずっと探し続けていたから、今はもうゆっくり休んでいると思うと。英国人らしい表現に感服。徘徊していたってことだね。

ク−パー動物病院  http://cooper-net.jp/

バックナンバー