銀杏と柿


  出張から帰って久しぶりに苦楽園の駅前を歩いた。イチョウ並木は、黄葉して黄金色に輝いているように見えた。数週間前、まだイチョウの葉は青かった。落ちている銀杏の強烈な臭いを嗅ぎまわっていた私の犬は、最終的には私の目を盗んで1粒ゲットした。翌朝、硬い殻につつまれた銀杏が吐いてあった。食欲が落ちることも無く、よく胃粘膜も傷めなかったと感心するやらほっとするやら。
 一方、野生の渋柿は食べ頃になるまでカラスたちは手を出さない。しかし熟れた頃にはアッと言う間に無くなっている。どうやって食べ頃を知るのか。動物は色を私たち人のように判別できないというが、彼らには視覚の代わりに僅かな臭いの変化を判別できる。残念ながら私たちにはその細かな違いを知ることができない。そして色も臭いも栄養成分の変化が外に現れたものだ。人は鮮やかな色の美しさで心を満たされ、動物たちは微妙な臭いの変化で命をつなぐため胃袋を満たす。

ク−パー動物病院  http://cooper-net.jp/

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