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   編集長・正木京子のこの人に会いたい!

  JR甲南山手駅から西へ8分、住宅街の中にひょっこり現れるログバウス。美しい庭園が平成24年度神戸まちなみ緑花コンクールで神戸市長賞を受賞した、レストラン「ブルーミンメドー」です。オーナーの渡辺倫子さんは、茶道・江戸千家師範「渡辺宗倫」としても活躍中。



 阪神大震災では生き埋めになられたんですって?

 この場所に社屋兼自宅があったんですが、古い木造家屋で一瞬にして倒壊し、夫と共に生き埋めになりました。夫は腕を骨折し、私も傷だらけになって自力で這い出したんですが、その後1年は、キッチンもトイレもないプレハブ暮らしになりました。

 ログハウスへの建替えとは思い切りましたね。

 震災後、夫が突然旅に出たんですが、帰って来るなり「ログハウスを建てる」と宣言しまして。「震災で、建物は無くなったけれど木は残った。木を活かした建築をしたい」と。もちろん周囲も私も大反対しました。「マンションを建てて、一部を自宅と事務所に」というプランの方が、よほど真っ当でしょう?(笑) でも夫の想いは強かったですね。それなら、住宅街にマッチするように「木の他に石と鉄を使って建ててほしい。お茶室も作ってほしい」と、私も条件を出しました。

 レストランウェディングの場としても人気が高いですね。

 それがね、レストランの営業をするのはずっと後のことになるんです。造園業が本業ですので、テラスでは園芸店をオープンし、事務所の一角にお花や小物を置いて販売したり、カフェを設けたりしているうちに、ある時、「ガーデンで結婚式できますか?」と訪ねて来られた方がありました。その時は全くノウハウがなくてお断りしたんですが、「かつて暮らしていたアメリカは、ビーチでも公園でもどこででも挙式していたよね?」とひらめきまして、ガーデンウェディングのスタートです。
 自宅としてのスペースを改造し、お料理は知り合いのシェフが半調理したものをここで仕上げてくれていたんですが、「やはり美味しいお料理をお出ししたい。その場で作らなければダメだ」と、専任のシェフを雇い、レストランとしての営業を始めました。
 ピーク時には年間86組あったガーデンウェディングも一つの波が過ぎましたけれど、花と緑については、どんな式場にもないものがうちにはありますので、おかげさまで週末1日1組限定で、年間50組を超える挙式をお手伝いさせていただいています。

 サービス業としての努力は際限がないですよね?

 人には、「接待する側の人」と「接待される側の人」があると思うんですよ。この仕事に憧れて入って来る人でも、「接待される側の人」だと「大変さ」が先に立って続きません。お客様に喜んでいただけることを自分の喜びにできる人こそが「接待する側の人」なんだなと。私は接待する側に生まれてしまったんですね。
 自分が満足していないものをお客様にお出ししてお金をいただくことには抵抗があります。この私の想いを同じ目的に向かって共有し、成長しようとしてくれるスタッフと共に、おもてなしさせていただきます。


●神戸市東灘区本山中町2ー9ー29
 TEL.078ー453ー8717
 ブルーミンメドー

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