第1話 日野神社



 瓦木城主の子孫が、氏神として建立。社は禊場(みそぎば)、鎮守の杜は山の出張所。
 社叢は、クスノキ・ヤブツバキ、アラカシをはじめとする約200種の常緑広葉樹が成育し、四季を通じて青々とした森の姿を誇っています。「日野神社社叢」として昭和46年(1971)4月に兵庫県の天然記念物に指定されました。
 巨樹や古木に囲まれた境内は、静謐な雰囲気に包まれ、山や川、心の奥に根付いた自然への崇拝の念が呼びさまされます。

 阪急西宮北口駅から東へ約1.4kmの阪急線路沿い北側にあります。神社の東部を流れる武庫川は、古くは暴れ川で、周辺が氾濫の影響を度々受けました。慶長年間には、現在の夙川脇の浜まで社殿が流されたとか。
 阪神淡路大震災では全壊。16年の歳月を経て、ようやく平成22年12月に再建されました。
 山をあがめ、海を鎮め、木や石に魂が宿るとして大切にしてきた私たちの生活から生まれたのが神道です。古来、疫病退散を願ったのが夏祭。同社では毎年7月7日に催され、「湯立神楽」が行われます。この湯しぶきを浴びると無病息災になると言われています。神楽は、地元の方の手で伝承されており、夏には巫女舞が舞われます。
 しかし最近、神社境内への少年によるいたずらが後を絶たないことは憂えます。



宮司
 宮崎浩史さん
県立西宮高校、國學院大學出身
ロック、ジャズ、クラシックと多岐に渡る音楽の趣味に象徴される「幅のある」人。交友関係も各界に広がる。
熊野神社、瓦木・厳島神社宮司兼務。


日野神社
西宮市日野町2−51
TEL.0798-64-0383

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