第7話 松原神社



 万葉時代、津門周辺は「津努(つぬ)の松原」と称された名勝でした。古来、天神(あまつかみ)を祀っていたこの地に、太宰府へ向かう菅原道真が立ち寄り、佳景を愛でたのが縁で、後に合祀され今の松原神社となりました。
 東南にある「史蹟漢織呉織松、染殿池」は、応神天皇の時代、縫工女として来朝した漢織・呉織が故国を偲んだ場所と伝わります。また、池のそばには織姫大明神をお祀りした喜多向稲荷神社があります。

 松原神社は古くから「松原天満宮」「松原天神」とも呼ばれ、JR西宮駅の南約300m、阪神西宮駅の東約500mと交通至便な場所にあります。阪神西宮東口駅があったころ、お祭の日には駅前からぎっしり露店が並び、これが全部神社の境内だと思っていた人もいたとか。
 宮司の小林恂三さんは熱田神宮で修行し、舞楽、弓道などを身につけられました。松原神社に就任して40余年。この地区の歴史に大変詳しい、まさに語り部です。
 毎年7月24・25日の夏祭、10月25日の秋祭には子どもたちによる神輿巡幸があります。
 神輿の担ぎ手である子どもも減り、地域の人々との交流も時代とともに変化しましたが、地縁を大事にし続けることが神社の役割でもあると小林宮司は話されます。




権禰宜
 小林義明さん
 宮司のご長男の義明さんは、もともと神職に就くつもりはなく、大学で電子工学を学んでいました。しかし、故あって後継者として神職の資格取得を目指すことに。今は権禰宜として宮司をしっかりと支えておられます。「花嫁募集中」とのことです。



松原神社
西宮市松原町2-26 
TEL.0798-33-2143

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