人、街、酒

第12回

フォークデュオとして息の長い活動を続ける「紙ふうせん」のお二人。これからの音楽活動について伺いました。

どこへ飛んでいく?

悦治郎 フォーク・ロックの黎明期に育ってきているから、僕たちのジャンルの先輩がいなくて、ずっと前を走り続けてきました。モデルがないので、これからの予想がつきませんが、60代、70代と年齢を重ねていく時に、ファンを裏切らずに、それぞれの年代の表現ができたらいいなと思っています。
泰代  根底に流れている、後藤悦治郎の音楽観は変わらないですから。
悦治郎 歌手は、アスリートと同じです。身体も声も維持しなければならない。僕はヨレヨレ・ボロボロになってもやり続けたいと思っているし、そうなったなりの表現があるだろうと思います。その時代に合わせた新しいものを表現できる限りやっていきたいですが、「紙ふうせん」としては認めないでしょうね。「紙ふうせん」は、きちんとしたものをきちんとやるというのが大前提ですね。
泰代 年齢とともに声の張りやつやがなくなっていくのは否めません。ある程度のラインまでは保てるでしょうが、それさえできなくなったらお客さんに失礼ですよ。
悦治郎 これからの年代を迎えるにあたって、2つ方法があると思っています。一つは動かない方法。「紙ふうせん」は動かず、皆さんがそこまで来てくださる。体力も衰えていくだろうから、最高のコンディションを保てる場を一つ持って、そこへいけば「紙ふうせん」がいるというスタイルです。もう一つは動くやり方。バンドもできるだけ身軽になって、メジャーに訴える手間もかけず「100人集まったらやりますよ」というノリで、あちこち動き回るんです。この2つに尽きると思いますが、僕の理想は動かない方ですね。
 マイク眞木、西岡たかし、高石ともや、小室等、そのあたりがやや先輩。彼らの動きを見ながら続いていく感じですか。
泰代 女性では、森山良子、加藤登紀子がデビューの先輩です。ジャンルが違うんですが、雪村いずみさんと昨年3回くらいステージをご一緒したんです。今もミニスカートを履かれるし、美しくてパワフルで、彼女が私の目標になりました。いい歳の取りかたをすれば、おもしろいことが出来ます。
悦治郎 先のことは考えず、まず今を大切に生きていくことですね。

(完)

●1年間、ありがとうございました。ますます愛される紙ふうせんでありますように願い、今後のご活躍を祈念いたします。


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