人、街、酒

第5回

ギター一本抱えて街から街へ。音楽で人と人をつなぐ桑名晴子さん。出会う人、自然、モノについて語ります。


 「心の歌旅」で、全国を回っている晴子さん。とりわけ本年10月は、回数も距離も格段に移動の多い月でした。
 4日大阪、8日福岡、11日鹿児島、12日大阪、15日神戸、17日徳島、19日大阪… ざっとライブの日程だけ見ても、合間に襲来した台風の間をくぐって、西へ東へ大忙しでした。
 大阪・神戸でのライブは、交通アクセスも良いので、人が集まりやすいのはもちろんですが、晴子さんの地方ライブは、車に乗り合わせたりして、かなりの遠方から駆けつけてくれるファンでにぎわいます。

兄の三回忌

10月は特に、2年前の10月26日に亡くなった正博さんの三回忌とあって、各所でお兄さんを偲ぶライブになりました。15日に神戸チキン・ジョージで行われた「桑名正博三回忌フェス」には、正博さんの昔のバンド仲間がステージを埋め尽くし、中学時代の同級生たちも集まって、熱気があふれていました。その中で唄う晴子さんの声の端に、どこか正博さんの声が乗っているようで、ステージ上で語られる思い出話と共に、フロア全体にも、ファンたちが語るエピソードがちりばめられていました。

一区切りついた

「年齢的に、女性にとっては体も心も大切な時と言われている時期ですが、この2年間は、自分のことは後回しで、家族のために走りました。兄の遺したことの後片付けから始まり、家族それぞれの暮らしを成り立たせることや、兄の納骨や法要のことを一つずつ済ませて、やっと落ち着けるかな? という気持ちになれました。周囲のことを一生懸命やっているうちに、自分のこともよく見えてきました。ここまでやって来れたのは、たくさんの人の愛のこもった応援のおかげです。ここからは、自分自身を真ん中に置いて、進んでいこうと思っています。自分自身の線路に戻って、まず自分が喜ぶことをしていきたいです」と晴子さん。10月末からは、関東ライブのスタートです。

つづく


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