友の旅立ち


 開院当初から懇意にしていたペットグルーミングサロンのオーナーが不慮の事故で亡くなった。身内だけで葬儀も済まされた後に聞いたので、今でもひょっこりご自分の大きな飼い犬を連れて現れるような気がする。
 彼が、当時生後8カ月のやんちゃ盛りの犬を知人から引き取ってトレーニングし、お客さんの犬たちとも仲良くしていたらしい。新たな里親を探すため院内にもポスターを張った。今は遠方に転居したある患者さんが、以前そのサロンの近所に住んでいた頃、自分の健康問題に悩んでいた。その時そのオーナーと犬がいつも励ましてくれたのだそうだ。今ではその患者さんもすっかり元気だが、院内のポスターの犬の写真に気付いて、あの時のお礼に早く行くべきだったと悔やんでいた。幸い彼の犬は良い里親のもとに引き取られた。犬にとっては大事な新たな生活の始まりだが、私達の中には、犬を連れた彼の笑顔がいつまでも消えることはない。

ク−パー動物病院  http://cooper-net.jp/

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