第3話 越木岩神社



 空を遮るほどのうっそうとした森を作る社叢林は、兵庫県天然記念物。鳥居をくぐり参道を歩くと、樹木のトンネルの向こうに日に照らされた社殿が輝いており、幻想的な景色をかもし出している。
 ご神体は「甑(こしき)岩」。高さ約10m・周囲約40mの巨岩で、酒米を蒸す「甑」の形に似ていることから、甑岩と称されるようになった。古来からの自然崇拝による、長い歴史を持つ信仰の地であることがうかがわれる。

 阪急バス、さくらやまなみバス「越木岩神社北」停留所から徒歩5分。住宅街の中に現れるこんもりとした杜が、越木岩神社。西宮戎と並んで「北の戎」と呼ばれます。
 大正時代は、ラジウムを含む温泉が湧き、保養地として開発されており、観光客も多かったのです。瀬戸内海の洋上からは、甑岩から立ち昇る湯気が見られ、まさに米を蒸している姿そのものだったとか。残念ながら、1938年の阪神大水害で泉源が枯渇しました。
 秋祭の「だんじり巡行」は、2,000人のメンバーからなる地元保存会によって支えられていますが、若手が少なくなり、住宅街からは苦情も発生し、難しい側面も。
 「奉納泣き相撲」も有名。大人の力士に抱えられて泣き声を競い合う行事で、3歳までの首がすわっている乳幼児なら、誰でも参加できます。




宮 司
 飯森隆年さん
「神社を継ぐのはいやでね。神主は"食わん主"と言うくらい、生活できなかったんですよ」と、一度は会社員になったとか。社会人になってから神職の勉強をし、新しい企画を考え続ける行動派の宮司です。



越木岩神社
西宮市甑岩町5-4
TEL.0798-31-0009

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