人、街、酒

第7回

ギター一本抱えて街から街へ。音楽で人と人をつなぐ桑名晴子さん。出会う人、自然、モノについて語ります。


  今年のクリスマスイブは、マイナス10度の旭川で迎えた晴子さん。前回ご紹介した、中尾伊早子さんとのご縁で訪れた旭川でのライブは、極寒ではあっても訪れた人の心をホットにしたようです。ライブ後の真夜中に編集室宛にクリスマスメッセージが届きました。

ハレアワ

 晴子さんは、ミュージシャンであると同時に、会社経営者でもあります。株式会社ハレアワを設立したのは、2011年春。
 「この年齢になって、女性一人で仕事をして生きていくって、社会的にはとても不安定なんですね。ここはひとつ、法人にしておこうと。会社名の『ハレアワ』は、会社を立ち上げる前に大阪の阿波座でいろんな教室を運営していたので、この阿波座から、晴れ渡りますように! という願いをこめた名前なんです。ハワイに『ハレイワ』というところがあるので、よくハワイが好きなんですねと言われますけれど(笑)」
 会社の設立直後に、東北の大震災が起きたため、初めての仕事は、浄水器や衣料、タバコを買い込んでの東北支援となりましたが、法人にしたために、スムーズに進んだことも多かったとか。

東北支援

 東北に無数のボランティアが入ってきましたが、ボランティアの交通費や滞在費を支援するために、送金を続けてきた晴子さん。今春、兄・桑名正博さんのCDと共にリリースしたアルバムの収益も、一部を東北復興支援金と未来を担う子供たちの育成基金として寄付されました。
 「わたしは目に見えないものを観る。わたしは 聞こえないものを聴く」と心の唄旅を続ける晴子さんは常に謙虚です。
 自分自身が意図しないことが、自然発生的に身近に起きたり、無理なく手に入るようになったりすると語りますが、人の気持ちを大切にする彼女だからこそ、周囲が自然に「見えないものを観えるよう、聞こえないものを聴こえるよう」に形づくっていくのかもしれません。
つづく


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