人、街、酒

第12回

ギター一本抱えて街から街へ。音楽で人と人をつなぐ桑名晴子さん。出会う人、自然、モノについて語ります。

 祈愛千鶴プロジェクト

 ネパールで4月25日に起きたマグニチュード7・8の地震や、その後の余震による死者数は、周辺国を合わせて8700人を超えたと伝わってきました。
 晴子さんは、手漉きのネパール紙で折り鶴を作り、鶴一羽につき百円以上の募金をする活動をしています。
 「この日本から世界中の人々に、宗教をこえた祈りの波動、人が誰しももっている思いあう、愛の力を皆に思い出してもらうためにも、実現したいプロジェクトです。祈りとは、誰でも実行できる愛の行為です」と晴子さん。
 このプロジェクトを共に提唱しているのは、晴子さんの曲「ONE」が生まれた頃の1999年に出会った南インド古典舞踊家のモガリ真奈美さんで、今月の「この人に会いたい」でご紹介しています。

 One One One
 あなたが歩く道
 私が歩む道
 違うけど同じところに
 辿り着くから
 ひとつ


越木岩神社の磐座

 この春、西宮が騒然となったのは、越木岩神社北部の磐座(いわくら)問題。約50年前に同神社が夙川学院に売却し、さらに近年、業者に売却されたため、自然崇拝を受けて古くから伝わる磐座がマンション建設のために取り除かれる可能性が出てきたのです。  一度失ってしまうと、二度と取り戻せないことから、晴子さんは、この保全のために立ち上がっています。
 「越木岩神社に友人が訪ねてきましたので、ネパール紙をご祈祷していただこうと持参しましたら、阪神大震災のときに被災者を励ます歌として生まれた『つる』の作曲者と出あったり、歌を奉納して、宮司さんに大変喜んでいただいたりと、不思議なご縁や出会いを頂戴しました。繋がっていますね。ありがたいことです」
 「心の歌旅」にますます力がこもる晴子さん。東北支援も含め、晴子さんの支援活動に私たちも学びたいものです。
 「光は、光がいっぱいあるところでは見えないですが、闇に差し込む光はどんな小さな光でもわかります。人の道を照らす光もそんなものではないでしょうか?」
(おわり)


一年間、取材・編集にご協力いただきまして、ありがとうございます。今後のご活躍を祈念申し上げます。


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