人、街、酒

第11回


辰馬本家酒造株式会社の第15代当主・辰馬章夫さん。様々な分野の組織代表や委員としても多忙です。

 辰馬本家酒造株式会社の代表としての務めの他に、数多くの役職に就いている辰馬さんですが、「もう歳ですし、ご迷惑をかけないうちに次世代に引き継いで行きたいと願っています」。
 そのなかから、3つの役について、お聞きしました。


西宮ユネスコ協会


 教育・科学・文化を通じて世界平和と人類共通の福祉の貢献のために設立された、ユネスコの理念を社会に広めるため、西宮には昭和37年(1962)に西宮ユネスコ協会が創設されました。辰馬さんは同協会の会長でもあります。

 「毎年、『ユネスコ世界児童画展』を行って、本年第28回を数えました。また、チャリテーバザー等の収益の一部は、開発途上国の子供たちの教育支援や、東日本大震災の被災児童の支援に充てています」

 長年、教育事業にも貢献してきた辰馬さんなればこそのお役目ですね。


日本酒造組合中央会


 昭和28年(1976)12月に、酒税の保全及び酒類業の取引の安定を図ることを目的として設立されたのが、日本酒造組合中央会。会員数千八百を超える全国的組織で、辰馬さんは、会長を昨年春まで務めました。

 各地の組合の総会や研修会への出席のため全国行脚で休む暇もありませんでした。一昨年秋の「旭日中綬章」叙勲は、これらの功績を称えられたものです。


兵庫県公安委員会


 日本酒造組合中央会会長を勇退直後からは、兵庫県から依頼を受けて、兵庫県公安委員会の委員を務めています。

 「公安委員会は1人の委員長と4人の委員で組織されています。3年任期ですが、毎週木曜に会議があるので、健康には気をつかいます。公安委員になると、最寄交番が自宅周辺を巡回警備してくれるんです。私自身の身辺を正しくしておかないと(笑)」

 定例会議では、警察から、事件・事故等の発生状況や各種施策についての報告・説明を受け、警察業務全般にわたって県民目線で意見を出し、協議をします。運転免許証の交付や行政処分等任務は多岐に渡ります。また、定例会議以外に、警察署の巡視、警察学校の式典、警察関連の大会や表彰式に出席などもあります。

 「種々の役目を仰せつかっておりますが、地元をはじめ多くの方々のご芳情で今日の白鹿があり、私があるのですから、少しでもご恩返しができればと思っています」と、辰馬さん。なかなか楽隠居とは行かないようです。


つづく



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