幸せもの

何年も前に来ていた飼い主さんから、久しぶりに電話があった。あの時診ていた猫が物を食べなくなって、いよいよ終わりが近づいてきたので、「最後に先生にぜひ会わせたい」とのこと。保護された後に猫同士のケンカ傷が悪化して1年にもわたる治療を乗り越えて元気になったのだが、私の第一声は「いったい今何歳なの!?」

そう、この猫すでに20歳を超えていた。5年前のワクチン接種以来、音沙汰がなかったので、もう亡くなっていると思っていた。老猫にしては当時のままの丸顔で、何ら変わりがない。飼い主は「もう自然にまかせようと思う」と言った。この潔さがこの猫の長寿につながったのだろうか。飼い主に抱かれて安心している顔を見て、幸せな一生だったんだなと感じた。

西宮市獣医師会による、17歳以上の犬猫の長寿の表彰も間もなくだ。興味のある方は、近くの動物病院にお問い合わせを。